森の学校に関わる教師それぞれの子どもたちに対する想いをご紹介します。

 

■「卒業によせて」

 

この前の土曜日、3年生の子ども達との最後の授業を終え、ホッとしたような、寂しいような、何ともいえない気持ちになりました。けれども、いまだにみんなが卒業するのだという実感をもてぬまま、この原稿を書いています。

 

3年前、新1年生担任のお話をいただきながら、教師として子どもの前に立つ自信が持てず、1学期間の準備期間を経て、初めて子ども達の前に立った日が、つい昨日のことのように思い出されます。あの日、初めて教師と生徒として向かい合った日の、子ども達のまっすぐな眼差しは、今でも忘れることができません。

 

教師として、一人の大人として、子ども達の前に「立つ」ということが、いかに大変なことかということを、教壇に立ってみて初めて気づきました。子ども達に必要な学びは何なのか、彼らの魂が本当に求めているものは何なのか、手探り状態でのスタートでしたが、子ども達の曇りなき眼に見つめられ、毎回の授業は真剣勝負そのものでした。

 

正直に言うと、いつも理想通りの授業ができたわけではありません。なんだかザワザワしていたり、どことなく元気がなかったり…。そんなとき、心をしずめて自分の内側を見つめると、ザワザワしていたり、元気がないのは、私自身であったことが多々ありました。子ども達の姿は、私の内側の反映、鏡にすぎなかったのです。

 

子ども達と向かい合う時、彼らの背後にある“みえないもの”を見ようとするだけではなく、自分自身をも見つめなければならないということを、森の学校での取り組みを通して教えられました。子ども達からたくさんの気づきやメッセージをもらって、こうして私は今ここに立っていることができるのです。

 

これから3年生の子ども達は、森の学校を巣立って、新たな一歩を歩み始めます。森の学校で過ごした3年間は、いつしか時とともに忘れてしまうかもしれません。ここで学んだことも、実社会では何ひとつ役に立たないかもしれません。けれども、心の奥の深い深いところで、小さなともしびのように、消えずに燃え続けている炎―それが、森の学校で過ごした日々であってほしいと願わずにはいられません。

 

今まさに、時代が大きく変わろうとしているこのとき、森の学校での学びは、子ども達が混沌とした時代を生き抜き、新しい社会を築いていくのに、必要な学びであると信じています。まっすぐな“光の柱”に貫かれた子ども達は、私たち大人が想像もしなかったような、新しい世界を開拓してゆくことでしょう。

 

そんな彼らの大切な子ども時代の一頁に関わることができたことを、心から嬉しく、そして幸せに思います。3年間、みんなの先生でいられたことを誇りに思います。

 

保護者のみなさんは私にとって、ともに考え、ともに悩み、森の学校という学びの場をつくっていく同士のような存在でありました。みなさんの熱意と行動力に、何度も助けられました。子育てをしながら森の学校にエネルギーを注いでくださったこと、頭が下がる思いです。その想いは、子ども達にもきっと届いていることと思います。

 

ひよっこ先生だった私を、「教師」として育ててくださったのは、子ども達みんなと保護者のみなさんです。私ひとりの力では、到底この3年間を乗り切ることはできませんでした。こうして出会ってくれたことに、心から「ありがとう」を言わせてください。

最後にこの場をお借りして、関わって下さったみなさま全員に感謝を申し上げます。

本当にありがとうございました。

 

(前3年担任 しらた 学校通信『森』より抜粋)